院長の独り言 98 ; 毎夕、銭湯に通った頃
私が小学生の頃、殆どの家庭に内風呂は無かったのです。
毎日、学校から帰ってから、外で遊んだ後、夕方前に近所の友達たち数人と銭湯に行っていました。
その一団の学年はまちまちで、一年生から六年生まで、場合によっては中学生も混じっていたのです。
いつも外で昆虫採集や三角ベースなど、身体を汚す遊びばかりしていたので、どうしても毎日、風呂に入らざるを得ないのです。
銭湯に行くのは、遊びの延長みたいなものだったので、それはそれで結構楽しいものでした。
今では考えられない事ですが、風呂代はその時代の物価と比較しても大変安かったのです。
また、早い時間帯のため、まだ大人は誰も来ていないので、格好の子供の遊び場となっていました。
大人は戦後の混乱期と云う事もあって、みんな遅くまで一生懸命働かなければならなかったので、夜遅くなってから銭湯に行っていました。
そう云った訳でわれわれ子供達以外、誰も入っていないので、熱い風呂にジャンジャン水を足して、ぬるくした後に潜ったりして遊んでいました。
ところがたまに、年配の頑固そうなお爺さんが先に入っている時には、全く閉口します。
何しろ、風呂のお湯をぬるくさせないのです。
水を足そうとすると『こら!』と、怒鳴られてしまうのです。
そう云う時には熱すぎて子供には湯船にゆっくり入る事が出来ず、仕方が無いので、身体を洗うだけにして、しょんぼり帰る事になるのです。
今と違い、小さい時から上級生も下級生も裸の付き合いをしていたので、陰惨ないじめなどは全くと言って良いほど有りませんでした。
一寸したいじめでも、必ず上級生が止めていたのです。
このごろは、どこの家にも内風呂が有る世の中です。
銭湯も少なくなってしまいました。
少年時代の自然な裸の付き合いも消滅してしまった事もいじめが大変増加している原因の一つかも知れません。
大人も子供も、時には裸の付き合いは大切ですぞ。